僕が囲碁を覚えてプロを目指した中学生の頃、日本の碁は、世界最強でした。
院生になった頃から、囲碁年鑑でトッププロの対局をすべて並べていましたが、とにかく個性豊かな棋士がたくさん居ました。
坂田栄男、藤沢秀行、林海峰、大竹英雄、石田芳夫、武宮正樹、加藤正夫、趙治勲、小林光一先生など、碁を並べれば、それだけでどなたの碁なのかわかる程、皆さん個性豊かで、明確なご自身のスタイルを持っておられました。
棋風が正反対の棋士同士で戦うと、極端に面白い碁になる事も多かったですね。
武宮先生対趙治勲先生の対局では必ず、趙治勲先生が実利を取り、武宮先生が大きい模様を張る展開になります。
治勲先生が大きい模様の中に踏み込み、取るか取られるかの勝負になる事も多く、見ている人には、たまらなく面白い勝負が多かったのではないかと思います。
趙治勲先生の凌ぎの技は、普通の棋士に真似出来る物ではなく、
よくそんな苦しい石を生きられるなと、いつも感服しながら並べていました。
僕が院生の時に特に憧れていたのは、スケールの大きな宇宙流の武宮正樹先生、相手の大石を豪快に取ってしまうキラーというニックネームを持つ加藤正夫先生でした。
地を稼いで勝つというよりは、相手を攻めて勝つという碁に魅力を感じていたのだと思います。
どういう勝ち方に憧れるかということで、それぞれの棋風が決まってくるのではないかと思います。
プロになってからも僕の碁は攻めて勝つという碁を理想としていました。
個性の突出した大先生方との思い出の対局をこれからyoutubeで解説していきたいと思います。
今回、紹介する第51期本因坊戦挑戦手合い第2局では僕は、趙治勲当時本因坊の石を本気に取りに行く、全てをかけた一手を放ちました。
その対局を現在の僕の目線で解説してみました。
是非ご覧ください。