将棋やチェスは相手の王将、キングを先に取った方が勝利します。
囲碁の場合は自分の石で囲った、地の広さを競います。
将棋やチェスの駒のように、それぞれのキャラクターはなく、すべての石は打ち手の考え方次第で自由な役割を果たします。
この、石の役割の曖昧さが囲碁の柔らかい魅力でもあると思います。
眼の数が361もある碁盤の中で、一見して地の広さは分かりづらく、
最後に数えてやっと勝ち負けが分かる場合も多く、それも楽しさのひとつです。
地の広さを競うわけですから、相手より出来るだけ効率よく少ない石で囲んだほうが得策です。
図1を見てください。
これは9目の地を作るには、何個の石が必要になるのかを現したものですが、
隅は6個、辺は9個、中央は12個になります。
ですから、効率の良さは、隅→辺→中央の順になりますね。
このような理由で、囲碁が強い人は、ほとんどの場合隅から打ち始めます。
隅への着手は、三々、小目、星、目外し、高目、大高目、大目外し、五の五と主に8種類の手があります。
この8種類の着手には、膨大な数の定石があります。定石は古くから研究尽くされた、最善と言われる手です。
僕がプロを目指し、修行していた十代前半の頃、日本棋院から出版されていた定石大事典という分厚い本があり、片っ端から読みあさり、暗記していきました。
それは、僕にとっては素晴らしく役に立つ勉強でしたが、アマの皆さんが試すにはあまりにも数が多く、現実的ではありません。
そこで、上達に役に立つ定石だけを厳選して選び、皆さんに覚えていただきたいと思います。
正しい石の姿を身につけるのに定石を覚える事は、凄く役に立ちますし、記憶していく喜びもあると思います。
なお、2015年頃からのAIの出現によって評価が変わった定石も数多くありますが、それは別の機会に紹介していきます。
プロの実戦で主に使われているのは、三々、小目、星が多く、9割以上を占めているでしょう。
目外し、高目は頻度は少ないですが、使われます。
大高目、大目外し、五の五はかなり特殊な打ち方で、プロの実戦では滅多に現れませんが、アマの皆さんが覚えておいても無駄ではないと思います。
碁敵が知らない可能性が高いです(笑)。
一回目は隅の三々についてです。☟
https://www.ryu-igo.com/entry/2020/03/25/125820