囲碁棋士 柳時熏のブログ

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柳時熏のGo 棋譜並べ

僕はプロ棋士になってすでに30年以上が経ちます。

僕がプロを目指して必死に勉強をしていた頃は、当然今のようにインターネットでプロの対局を見られる時代ではなかったので

分厚い対局集を片手に、棋譜並べに没頭する毎日でした。

本因坊道策先生、本因坊丈和先生、本因坊秀策先生、呉清源先生、坂田栄男先生など、他にも多くの先人達が残してくださった棋譜は、囲碁の美しさと壮大な魅力に溢れています。

それらの棋譜を並べている時、僕は勉強をしているという感覚ではなく、本当に楽しく、夢中になっていました。

無限に広がっていく囲碁の世界を、体感する喜びであったかもしれません。

僕の勉強法は一度に棋風の違う棋士の研究はせず、ひとりの棋士にしぼり、ひたすら並べるスタイルでした。

棋譜を覚えた後は、自分自身が道策先生や、丈和先生になり切って、目の前に相手がいるつもりで碁盤で打ってみます。

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内弟子時代、夢中に棋譜並べを続けていました。17歳で三段くらいだったと思います。

ひとりの棋士に絞る事によって、その人の感性を受け継ぐことができるような気がします。

現代は溢れんばかりの棋譜があり、情報が多すぎて、何を勉強したらわからないこともあると思います。

そういった時は好きな棋士を見つけ、その人の碁をとことん見てみるというのも面白いと思います。

僕は今でも先人の棋譜を並べ、研究を続けていますが、現代の棋譜の中にも、非常に心に残るものが存在します。

僕自身が対局した中でも、何年、何十年経っても忘れられない棋譜、そして驚異の一手があります。

その場面に焦点を当てて、僕の感性で詳細解説していきます。
第一回目は、第35期棋聖戦挑戦者決定リーグで当時の井山裕太名人との対局です。
井山名人から最新型AIでも見つけられない、驚異の一手を放たれ、壮絶な戦いになりました。是非ご覧ください。

 https://youtu.be/MwN4SRik5vU 

 

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柳時熏のGo 囲碁とネット配信(2)

アルファGoを開発した、DeepMindという企業は、アメリカの巨大IT企業Google社の子会社です。

2016年、アルファ碁が韓国のイセドル九段に勝利した時は、大変な衝撃を受けました。
囲碁の歴史に未知なる世界を切り開いてくれたGoogle社には、とても敬意を払っています。

ご存じの方も多いとは思いますが、YouTubeもGoogle社の子会社です。
ですから、YouTube配信をするということは、Googleの従業員という事になります。

チャンネル登録者数が1000人を超えると、自分の動画に広告が載るようになり、
無給の研修生からアルバイト契約になったような感じでしょうか。
しかし動画1再生につき0.1円~0.5円程度の報酬ですので、収益らしい収益を上げるのは
厳しい道のりというより他はないでしょう。

Google社の手のひらで遊ばれている気はしますけど、楽しいし、良しとします。(笑)

YouTubeという世界、配信する側になってみると色々と面白い発見がありました。

テレビのように、それぞれが個々のチャンネルを持ちます。

視聴率ではなく、視聴回数が表示されます。

視聴者がその動画に対して、良かった、良くなかったという評価ができます。

そのチャンネルの動画をまた見たいと思う場合、チャンネル登録をしてくれます。

このように視聴者の反応をみながら、世の中のYouTuber達は日々研究をして、頑張っているのです。

プロYouTuberには、数百万、数千万人の登録者数を抱えている方もいますが桁違いの数字です。


ほとんどの人は投稿したからには、多くの人に見てもらいたいですから、
面白いものを作らなければいけません。

僕もみなさんの反応をもとに、自分でいろいろ判断して、チャンネルを育てています。
例えばニコちゃん問題のレベル7が、2000回近く再生されていて、反響があったことに驚きました。

あれはプロでも解けない難解な問題を30分近く長々と解答解説した動画で、
アマの方が見て楽しんで頂けるかどうか、投稿するまでわかりませんでした。
でも視聴回数から判断すると、良かったようなので、今後の参考にします。


テレビ局では放送している番組が視聴率が悪いと、番組が終了になることもありますよね。
でも中には、その番組が好きな人もいて、その人たちは残念に思うと思います。

YouTubeの一人放送局でも、あまり再生されない動画はあります。
僕の場合、ニコちゃんのやさしいレベルの問題は再生数が伸びないのですが
きっと楽しんで見てくださる方はいると思うので、これからも続けていきますね。
でも手数があまりに短いものは、Youtubeを使う必要をあまり感じないので、ブログを中心に出題したいと思います。

囲碁関連の動画は、全体的に数も再生数はまだまだ少ないです。
僕も囲碁を楽しんでもらえるコンテンツをいつも考えていますが、
先日、初めて打ち碁解説をしてみました。

2018年に自らが参戦した三星杯囲碁マスターズの対局です。
これから、日本を含め世界中の碁を解説していきたいと思い、柳時熏のGROBAL囲碁解説というカテゴリー名にしました。

番組の何から何まで、全てオリジナルで作りましたが、自分的には中々面白いと思うので(笑)よろしければご覧ください。

三星火災杯マスターズ予選決勝

https://www.youtube.com/watch?v=Bj7afEB6Kbk&t=37s

三星火災杯マスターズ本戦一回戦

https://www.youtube.com/watch?v=ZingNJHUDgk&t=561s


視聴していただいた方からのリクエストで棋譜解説する事も可能です。

そういう視聴者と配信者の距離が近いのがYouTubeの面白さですが、

打ち碁解説をするには気を付けなければいけないことがあります。
まだ新聞掲載されていない棋譜、テレビ対局の放送後、間もない棋譜、などの解説です。
棋戦を開催して頂いているスポンサーにご迷惑をおかけする事になりますので使用する時期は慎重に選ぶ必要があります。

テレビ対局の場合、放送済みでも録画してゆっくり見られる方達も居ます。
また、各棋戦の本などが一年後に出版される事もありますから、
新聞掲載された棋譜でも、最近のものを使うのは避けようかと思います。

世に出ていない対局でも良い棋譜はたくさんありますから、
そういったものを使った方がオリジナリティは出るかと思いますし。

囲碁の楽しさ、素晴らしさをアピールしていくのは我々棋士の役割ですから、
これから個人で配信する方達も、それぞれ自分の個性、良さを生かした質の高い動画を作り、囲碁を広く世にアピールして行って欲しいです。


皆さんにも応援いただけたらと思います。
今後とも宜しくお願いいたします。

柳時熏のGo 囲碁とネット配信(1)

囲碁とネット配信(1)

僕は3月からTwitterとブログを始めて、その後youtubeも投稿を開始しました。

それまでFacebookは使っていましたが、外国に住む家族や、身近な人との交流を目的としたものでした。

僕にとってSNSはプライバシー重視で、多数の方との交流の場として使うのは、どちらかと言えば面倒なイメージだったので
今まであまり積極的にやってこなかったのです。

そんな僕が、ネット配信に力を注ぎ始めたきっかけがあります。

日本棋院の30歳以下の若手棋士達が集まり、日本棋院の将来を語ってもらった議事録の中に、
囲碁の棋士は、snsを使い囲碁の魅力をもっと外に向けて発信していくべきだという発言を読んだからです。

なるほど、今の時代、発信って大事なんだと思いさっそく始める事にしました。


まず簡単に始められそうだったTwitterに登録し、毎日投稿するようになりましたが、大勢の人とこんなに短時間で知り合いになれるんだ!!と驚きました。

フォローしてくれるほどんどが、囲碁関係のお仕事や、囲碁ファンの方だったので、楽しんでもらおうと囲碁の問題を出してみると、とても良い反響がありました。

Twitterは投稿できる字数が少なく、正解の解説を書ききれないので、動画で撮影して載せる事にしました。
自分で撮った動画をSNSに載せるというのは、未経験でしたし、なんとも照れくさい感じがしましたが、文章で書くよりも格段にわかりやすく、見る側にとって最適な方法だと思いました。

Twitterは過去の投稿を探しにくいので、その手間を無くし、簡単に皆さんに視聴していただけるように、youtubeに投稿することにしました。

始めは僕自身は映さず、碁盤と碁石と声のみで、ニコちゃん問題の解答を投稿していましたが、
観てくださる方が増えてきたので、先日初めてカメラの前でご挨拶をしました。

挨拶動画を撮影して、僕もとうとうユーチューバーへの第一歩を踏み出したのだと思いました。

以前、子供達があこがれる職の上位がYouTuberだという話を妻から聞いて、
困った世の中になったものだと呟いた男がyoutubeデビューをしてしまったのです。

それまでyoutubeは、庭作りやdiyの動画を見て参考にさせてもらった事はあったけど、自分がまさか配信者になるとは...世の中わからないものです。


自分で動画を作って観てもらうという単純な事ですが、実際にやってみると良い動画を撮るのがいかに大変かよくわかります。

例えば、初めの数本の動画は、画面の中で、碁盤は傾いていて、曲がっているし、水槽の水の音が、うるさいです。💦
その点は少し改善出来ていると思いますが、他はまだ完全に初心者の域であると思います。
多分囲碁で例えると、アタリもわからない状態で始めてしまったわけなんですね。

囲碁と同じように、学んでいけるというのは楽しいですから、日々学び続けようと思っています。
見づらい動画もあると思いますが、少しずつ改善しますので、よろしくお願いいたします。

僕だちプロ棋士は皆、個人事業主ですから、これから個人で配信をしていく人が増えるだろうし、それが健全であると思います。

今まで、生放送をはじめとする囲碁番組に数多く出させていただいていますが、
現場には、たくさんのスタッフの方がいて、それぞれの役割を持って協力して番組作りをされています。
その方達の努力の結果、見やすく素晴らしい番組が出来上がるのだといまさらながら感じています。

コロナの影響で、テレビ解説の仕事が数件延期になってしまいましたが、今度出させていただく時は、一人放送局での経験を少し生かせて良い解説が出来るんじゃないかと思います。

(2)に続く☟

https://www.ryu-igo.com/entry/2020/04/17/144022

 

ニコちゃん問題レベル8(1)出題

皆さんこんにちは。

コロナの影響で囲碁界も予定された手合いがすべて5月中旬まで延期になりました。
そのためプロの公式戦はしばらく行われません。

そんな中で、4月9日木曜日、日本棋院公式サイト幽玄の間でトッププロ棋士10名による、公開練習試合が行われました。
井山棋聖、芝野名人、村川十段、一力竜星、といったタイトルホルダーも参加して、見応えのある内容だったと思います。このイベントは棋士による発案だったそうですが、今の状況でも、囲碁が楽しめる計画を、囲碁界全体で続々と立てているようです。

ぼくもブログ、Twitter、youtubeなどの配信を頑張りますので、宜しくお願いします。


先日、ニコちゃん問題で、最高レベル7の問題を出題しました。

今回は、そのレベル7を超える、レベル8の問題を作らせていただきました。

前作を超えるさらに面白い問題になっています。

現在長い休みに入ってしまった、多くのプロ棋士、院生、インストラクターの方達、そして全ての囲碁ファンの皆さんにチャレンジしてもらいたいと思います。

読みの力を付けるには、まず、読もうとすることが第一歩です。

考えられるだけ考え抜けば、その時点で読みの力は確実に鍛えられます

解答動画はまだ作っていませんが、大冒険のようなわくわくするものになると思います。まずは問題にチャレンジして、お待ちください。

では問題の紹介です。

 https://youtu.be/3DRNSXy2yIw

 

石を正確に配置してください。

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ニコちゃん問題レベル8 (1)

黒番で白のニコちゃんを捕まえる問題です。

白のすべての抵抗を読み切ってみてください。

アマの方は、石を並べながら解いてもらっても良いと思います。

 

柳時熏のGo (隅の打ち方マスター5)星編3

 

今回はカカリに対するハサミについてです。

三々に入られると、隅の実利は明け渡す事になりますが、

その代わりに辺の主導権を握っていこうというのがハサミの基本的な考え方です。

ハサミも6種類もの手があるので、それぞれ性格はかなり違います。

まずは一間低いハサミから。

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一間低いハサミ基本定石1

昔から今までも愛用されている一間低いハサミです。

白は3と入っていって以下、11まで隅の実利を確保しながら、安定した綺麗な姿を得る事になりました。

黒は8,10と渡った形が非常に強く、上辺での発言力を得る事が出来ます。

かなり昔からよく打たれている定石ですが、最新のAIも好む形です。

7,9を決めてから11と打つ石の流れをつかみとってください。

白の打ち方は、黒のどのハサミに対しても有効ですので、身に付けたい定石です。

 

 

 

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一間高ハサミ基本定石

一間高ハサミもよく打たれています。

白は一回飛び出してから、5,7と連続で桂馬に打つのが、自身の安定を図る為に大事な手です。

あんまり早い段階で二線に石が向かうのはよくないとされていますが、

この場合、②の位置が少し甘くなっているので、双方バランスの取れた形と言えます。

黒も8まで右辺に安定した実利を得る事が出来ます。

一間高ハサミに対して、三々入り以外に今までよく打たれた定石です。

 

 

 

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二間低いハサミ基本定石

二間低いハサミに対する白の打ち方ですが、三々入り以外にも、両カカリも考えられます。3,5と三々入りのタイミングを少しずらして打つ手も、よく打たれます。

白は隅の実利を得て、1の石もまだ取られていないので、プロの実戦でもよく打たれる定石です。

 

 

 

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二間高ハサミ基本定石

どちらかと言えば、二間低いハサミよりも、多く打たれてきたのが二間高ハサミです。

三々入り以外では、このような形もよく打たれてきています。

5と一回打ってから三々に入って、白は先手で隅の実利を得る事が出来ます。

黒は10と手を入れ、1,5を取り込んだ形が中央に向けて非常に厚く、双方不満ありません。

今までよく打たれてきた定石です。

 

 

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三間低いハサミ 基本定石

三間低いハサミはハサミの中では打たれている数は少ないと思いますが、たまに打たれます。

白が三々に入ってきた時は、10,12と手をかけて白の隅の実利対黒の辺の厚みのバランスが取れているんで、定石として長きに渡って愛用されてきました。

この形は、三間高ハサミでも応用出来ます。

ただ、この形に関しては、最近は受け方が変わってきました。

次に紹介します。

 

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三間低いハサミ基本定石(進化系)

10と打つ手が最近打たれています。

10,12と同じ手をかけるなら、前回の図よりこちらの方が味が良くしっかりしているという事で、現在では常識となってきています。

 

 

 

 

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三間高ハサミ基本定石

三間高ハサミはハサミというには大らかな手ですが、昔から愛用されています。

三々入りも有力ですが、広いハサミに対しては、両カカリの方がより多く打たれていると思います。

黒は4,6とこちらにツケノビて、7の三々に対しては、8,10とこちらを切っておくのが厚いです。今でも打たれている定石です。

 

以下、星に桂馬カカリした手に対してはさむ手の、覚えやすい定石を厳選してみました。

打つ手の幅が広く、難しい変化も多いので、カカリに対し受ける手に比べて、上級者向けと言えると思います。

碁盤に並べながら、正しい石の姿を身に付けるのに、参考にしてみてください。

今回の変化の中から、また改めて詳細解説させていただく定石もあると思いますのでお楽しみに。

また今回の定石に関して何かわからない事がありましたら、お問い合わせフォームにて質問を受け付けます。ご質問の中から選んだものを、ブログ、youtubeにて追って解説したいと思います。(すべてに返答できない可能性がありますが、ご了承ください。)

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

柳時熏のGo(隅の打ち方マスター4)星編2

星編2

桂馬カカリに対する一番人気がある打ち方として、桂馬受けがあります。

変化がシンプルで、バランスが良いのでおすすめです。

今まで一番よく打たれているのがこの定石です。

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桂馬受けに対する基本定石

白の⑤というヒラキの位置が大事です。

三線にある石からは二間にひらくのが基本でありますので、是非覚えてみてください。

この定石はシンプルながら、双方バランスの良い形という事で、長きに渡り打たれてきました。

プロの碁では一番よく打たれている定石かもしれません。

皆さんも見覚えがあるのではないでしょうか。

 

 

 

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一間受けの基本定石

一間受けも、よく打たれている手です。

僕がプロになった30年くらい前には、カカリに対する受け方としては、

こちらの方が普通で一番よく打たれていました。

最近のプロは、桂馬受けの方を好む傾向がありますが、

この手も堂々とした立派な一手であることは変わりません。

白は、⑤手目、二間ではなく、桂馬に打つ手もあります。

連続して、桂馬につながっている姿も中々美しいものです。

 

 

 

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一間受けの基本定石2

一間は桂馬うけに比べて、勢力重視の手なので、隅を何も決めずに、辺の星に開いておくのもよく打たれています。大桂馬に比べて、一路広いヒラキですが、三線の石からの開き方としては、よく使われる時点ですので、是非覚えておいてください。

 

 

 

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大桂馬受けの基本定石

黒が大桂馬に受ける手も、たまに打たれていました。

隅の実利より、辺へのスピードを重視した打ち方です。

白はすぐに三々に入っていく手が多く打たれます。

以下、簡明な定石です。

大桂馬受けは最近はあんまり見ない受け方ですが、まだ十分に有力だと思います。

 

 

 

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ツケノビの基本定石1

ツケノビは、受け方としては、一番積極的な打ち方です。

白の受け方としては、このような定石がよく打たれてきました。

黒は隅の実利をかなり確保出来ましたし、白は上辺から中央にかけて、将来性が期待できる良い形です。

石の正しい姿の参考になる美しい定石だと思います。

 

 

 

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ツケノビ基本定石2

 

白がもう一歩踏み込んで5までツケる手もあります。

隅の実利を少し削る事が出来ますが、黒の形もしっかりしてくるので、今度は⑩まで広く構える事が出来ます。

この形も双方綺麗な姿を得る事が出来ました。

以上、白の桂馬カカリに対する受け方の基本定石の中で、覚えやすいものだけを厳選してみました。

どれも美しい定石ですので、碁盤に実際に並べて見ながら、石の正しい姿を身に付けてみてください。

 

基本定石の中にはたくさんの枝分かれがある難しい変化を含んだものも沢山ありますし、AIの影響で評価が変わってきているものもありますが

まずは、長きに渡り愛用されていた基本のものをしっかり学んでいただいてから、ゆっくりご紹介していきたいと思います。

 

次は桂馬カカリに対するハサミについてです。

 

動画解説は準備中です。よろしければyoutube のチャンネル登録をしてお待ちください。↓

 https://www.youtube.com/results?search_query=%E6%9F%B3%E6%99%82%E7%86%8F

 

柳時熏のGo(隅の打ち方マスター3)星編1

星編1

星は印が付いている場所という意味で名前が付いているのでしょう。
現代で一番よく打たれる隅への着手です。

何百年もの長い日本囲碁の歴史からすると、初手に星が打たれている歴史は意外に浅いです。

それまでの何百年間、小目、目外し、高目という三点だけが隅の着手として使われていました。

江戸、明治時代の名手本因坊秀栄先生が白番で二手目の星打ちは試されていましたが、黒番ではなぜか使われることがほどんとなかったのです。


本格的に打たれ始めたのは、1933年に、当時若手のホープだった呉清源五段が、第一人者本因坊秀哉名人との対局で星、三々、天元というそれまでの常識を覆す新布石を打たれ,世を驚かせました。

その時の棋譜を貼っておきます。

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黒番 呉清源 VS 白番 本因坊秀哉

呉清源、木谷実という両先生にによって研究され革命的に発案された、隅に打たれる着手としての星、三々は、今に至っては不動の人気を確立していますが、長い歴史の中で、黒番で一手目を星に打たれた棋譜は、新布石が始まるまでの何百年間、僕が知る限り一局も見た事がありませんし、三々に至っても同様です。


星と三々は何故打たれてこなかったのか不思議ですが、よく調べてから違う機会で述べたいと思います。

星は、ハンディを付けて行う置碁の場合、置き石の位置ですから、
碁を覚えて間もない方でも、慣れ親しんでると思います。

星に対する主な打ち方は、桂馬にかかる手が、一番多く打たれています。

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桂馬カカリ



これからこの手に対する定石ををしっかり勉強していきたいと思います。

2015年頃からのAIによって、いきなり三々に入ってくる手が有力視され始めましたが、
それはまた違う機会に紹介していきたいと思います。

まずはカカリに対する黒の着手は色々なものがあります。

受け方は、桂馬、一間、大桂馬、ツケ、がよく打たれています。

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実戦でよく打たれている受け方の4種類。

 
ハサミ方は、この6種類。
後、手を抜くという選択肢も最近増えています。

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ハサミ方は主にこの6種類の手があります。

星に対する桂馬カカリに対する打ち方だけで、10種類以上の手が存在します。
三々と比べて圧倒的に手の種類が増えていますね。


それらの中で簡単に覚えられるお薦めの定石だけを取り上げていきます。
碁盤に直接並べながら、石の形を覚えてみてください。

星編2に続く☟

 https://www.ryu-igo.com/entry/2020/04/06/113635